日本では、女性の10人に1人が乳がんを経験すると言われています。
特に40代から60代にかけて、そのリスクは大幅に増加します。
私自身も、40代で乳がんを患った職場の上司や、60代で乳がんと闘った知人の話を聞いたことがありましたが、正直どこか「自分には関係ない」と感じていました。
しかし、6年に及ぶ離婚問題がようやく決着し、「ここからが私の新しい人生のスタート!」と思っていた矢先、まさかの乳がんが見つかり、手術を受けることになりました。
この記事では、私の乳がん発見から治療までの経験をお伝えしながら、乳がん検診の重要性について改めて考えてみたいと思います。
乳がん検診の重要性‐私の経験から
2023年4月、乳首にピリピリとした痛みを感じました。最初は気のせいかと思い、しばらく様子を見ていました。
しかし、その違和感は消えることなく、痛みも次第に強くなっていきました。
不安を抱えたままでいるより、原因を明らかにして安心したいと思い、7月始めに乳腺外科を受診しました。
診察の結果、医師から「乳がんの疑いがある」と言われ、その場で組織検査(生検)を受けることになりました。
そして、結果を聞く際には家族と一緒に来るようにとの指示がありました。
7月半ば、次女とともに病院を訪れると、医師から「乳がんのステージⅠ、腫瘍は約2センチ」という診断を受けました。
手術を受ける病院を紹介され、治療方針について説明がありました。
ある程度予想はしていたものの、身内に乳がんの患者がいなかったことや、4年前のマンモグラフィー検査では「乳腺症のしこり」と言われていたこともあり、「なぜ今さら乳がん?」という疑問が頭をよぎりました。
その場で紹介された病院を7月下旬にに受診し、CT検査を受けたうえで手術日を相談しました。腫瘍が乳首の近くにあるため、温存手術ではなく全摘出の方が良いという判断でした。
私にとっては腕が上がらなくなって趣味のバレエに支障が出ることの方が、乳房を取ることより重要な関心事でした。全摘手術と言われて主治医に尋ねたのは「先生、手術しても腕は上がりますよね?」でした。
8月に術前検査を行い、9月に手術を受けました。10日間の入院生活を経て退院。術後の検査では、幸いにもリンパ節転移がないことも確認され、治療はホルモン剤を1日1回服用するだけで済むとのことでした。
現在は、手術を受けた病院で年に1回の定期検査を受け、必要に応じて乳腺外科でも診察を受けています。
乳がんについて
手術をした病院での術前、術後の説明です。
- 腫瘍の大きさ:1.8 cm
- 病理診断(針生検):浸潤性乳癌
- 腋窩リンパ節の腫大:なし
- 遠隔性転移の可能性:なし
- 術前病期:ステージⅠ
- 手術:切除範囲 乳房切除術(全摘)
リンパ節 センチネルリンパ節生検 - 術後 乳癌のサブタイプ: ホルモン受容体陽性乳がん
- 術後 治療方法:ホルモン療法
乳房に発生した腫瘍のことを乳腺腫瘍といい、そのうち悪性の上皮性腫瘍を乳がんと言います。
乳がんの多くは乳管から発生しますが、一部は乳腺小葉から発生します。男性にも発生することがあります。
乳がんは非浸潤がんと浸潤がんに分類され、非浸潤がんは転移の可能性がないため、早期発見が理想的です。
乳がんは進行度に応じてステージ0期からIV期まで分類されます。
0期は非浸潤癌で、IV期は他の臓器に転移している状態です。
乳がんにはさまざまなタイプがあります。
乳がん細胞がもつ性質によって、分類したものを「サブタイプ」と呼び、このサブタイプは病理検査(組織診)で、がん細胞の表面にあるタンパク質を調べて判定します。タイプ毎に、がん細胞の増殖する力の強さや再発のリスク、薬の反応性が異なります。
このサブタイプに基づいて、ホルモン療法(内分泌療法)や抗がん剤療法(化学療法)、分子標的療法(抗HER2療法)などから必要な薬物療法を選択していきます。
乳がん検診の重要性
今回の経験でわかったのは、乳がんは他人事ではないということです。
そして、検診がどれだけ重要かということを身をもって知りました。
私は腫瘍が約2センチの段階で発見されたため、早期治療が可能でした。
もし、ピリピリとした痛みがなく放置していたら…と考えると、検診や自分の身体への気づきが命を救うきっかけになったことを思い知った気がします。
乳がんの検診方法
早期発見のためには、定期的な検査が必要です。
以下の検査が一般的です。
- マンモグラフィー検査:
乳房を圧迫して撮影するX線検査で、小さなしこりも発見できます。40歳以上の女性には2年に1回の検査が推奨されています。 - 超音波検査(エコー)検査:
人の体の内部を安全かつ痛みなく観察できる画像診断法です。
マンモグラフィー検査では見つけにくい若い女性や乳腺が発達している方に有効です。
皆さんは「デンスブレスト」という言葉を聞いたことがありますか?
「ラジエーションハウス」というTVドラマで取り上げられた事もあるのでご存じの方もいらっしゃるかと思います。
日本人女性の多くが高密度乳腺(デンスブレスト)を持つため、マンモグラフィだけでは検出が難しい場合があるそうです。
超音波検査を併用することで、この問題に対処できますので、是非、同時に検査を受けてください。
この記事を読んでくださる方に一番伝えたい事です!
私の乳がんは約2センチの大きさで、医師に『この腫瘍がここまで大きくなるのに、どれくらいの期間がかかるのですか?』と尋ねたところ、『4~5年くらいでしょう』と告げられました。4年前のマンモグラフィー検査で異常なしとされていたため、『検査を受けた意味がないのでは?』と憤慨していると、医師からマンモグラフィー検査だけでは検出が難しいことがあると説明を受けました。
定期検診を受けることのメリット
- 早期発見・早期治療が可能になる
早期発見できれば、治療法の選択肢も広がり、より少ない負担で治療を終えることができます。 - 安心感が得られる
定期的な検診を受けることで、自分の体が健康であることを確認でき、精神的な安定にもつながります。 - 治療の選択肢が広がる
早期に発見できれば、より身体への負担が少ない治療法を選択できる可能性があります。
この記事を読んでくださった皆様へ
乳がんは女性の10人に1人が経験すると言われているほど身近な病気です。特に、40代以降は乳がんの発症リスクが高まります。
小さな変化を見逃さず、早めに医療機関を受診することが大切です。
- 検診を忘れずに: 2年に一度の検診を必ず受けましょう。
- 自己触診を習慣に: 月に一度は、ご自身の胸を触って変化がないか確認しましょう。
- 違和感を軽視しない: 体に少しでも異変を感じたら、早めに医師に相談しましょう。
乳がんは、早期発見・早期治療が何より大切です。
私の経験が、皆様の健康管理のきっかけになれば幸いです。
健康で充実した人生を送るために、ぜひ定期的な乳がん検診を心がけてください。