はじめに
この記事は、私自身の記録(忘備録)を兼ねています。
股関節痛に悩んでいた頃、私もインターネットで必死に情報を探し、同じように股関節痛と向き合いながらバレエを続けている方のブログに励まされた経験があります。
今回は、両股関節人工関節手術を受けた体験をまとめました。
同じように悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
※内容は私個人の体験であり、最終的な判断は必ず主治医にご相談ください。
※内容は私個人の体験であり、最終的な判断は必ず主治医にご相談ください。
手術を決断した理由|大人バレエと股関節痛
私は長年バレエを続けてきましたが、股関節痛との付き合いは避けられませんでした。
骨切り術を受けて一度は復帰したものの、年齢とともに再び痛みが悪化。
幹細胞治療にも挑戦しましたが効果は一時的で、結局は「再投与か人工関節か」の選択に迫られることになりました。
その頃、友人から「人工関節になっても運動は出来る」という話を聞きました。
調べてみると、術式の進歩により筋肉を温存した手術法やロボット支援手術が導入されており、従来よりも回復が早く、運動の継続も可能だということがわかりました。
「バレエに復帰できるかどうか」を主治医に確認した上で、私は両股関節の人工関節全置換術を受ける決断をしました。
最新の人工関節手術について(術式とロボット支援)
人工股関節置換術(THA)には複数の術式があります。近年は「できるだけ筋肉を切らない」ことを重視した最小侵襲(MIS)手術が増えています。
主な人工股関節術式
- 仰臥位前外側侵入法(ALS)
太ももの前外側から切開し、筋肉損傷が少ない。脱臼リスクを下げやすい特徴があります。 - 仰臥位前方侵入法(DAA)
太もも前方から切開し、筋肉温存性に優れるアプローチ。術後の回復が比較的早いとされています。 - 後側方アプローチ(PL)
お尻側・太もも外側から切開します。筋肉損傷がやや多く、後方脱臼のリスクがありますが、視野が広く安全に手術を行いやすいというメリットもあります。 - 側臥位前側侵入法(OCN)
側臥位での前側アプローチ。施設や医師によって選択されます。
最小侵襲(MIS)手術の特徴
- 傷口が小さい(7〜8cm程度)
- 出血が少なく、手術時間も短縮
- 筋肉をほとんど切らないため、術後の動作制限が少ない
- 合併症(脱臼・感染など)のリスクを下げ、早期回復につながる
ロボット支援手術(例:MAKOロボット)
術前にCT画像を基に3Dシミュレーションを行い、手術中はロボットが器具の角度や位置をナビゲートします。これにより正確性が高まり、関節の安定性や長期耐用性も期待できます。
両股関節同時置換
麻酔や周術期管理の進歩により、一度に両側を置換することも可能になりました。入院やリハビリの期間を短縮できるというメリットがあります。
術式の選択と、私が後方アプローチを選んだ理由
当初、私は「回復が早く筋肉をあまり切らない」とされる前方アプローチや側方仰臥位アプローチに魅力を感じていました。
そのため、病院探しの際にはこれらの術式を取り入れている施設を重点的に調べました。
しかし、九州では九大をはじめ主要な病院が後方アプローチをメインとしており、実際に選択できるのは後方アプローチの病院ばかりでした。
さらに医師からは「前方や側方アプローチにもメリットはあるが、デメリットもある」と説明を受けました。
入院前の検査や家族の見舞い、退院後の通院を考えると、自宅から近い病院で手術を受ける方が安心だと判断しました。
最終的に私は、**THA(人工股関節全置換術)後方アプローチ+MAKOロボット支援(MIS低浸潤タイプ)**で手術を受けることに決めました。
医師から「低浸潤タイプなら後方アプローチでも回復は早い」と説明を受け、納得して臨むことができました。
結果的に、この選択は私にとってベストだったと思っています。
手術当日と入院生活(両股関節同時置換)
手術は全身麻酔で行われ、両股関節同時置換のため約4時間かかりました。
術後1日目はベッド上安静、2日目からはリハビリが始まり、4日目には歩行器を使った歩行訓練に移行しました。
その後は杖歩行へ進み、約2週間で退院することができました。
リハビリでは、脱臼予防のために「足を組まない」「深くしゃがまない」などの姿勢指導を徹底されました。
術後すぐは脚が思うように動かせず、筋トレやリハビリは決して楽ではありませんでした。貧血で輸血を受けるなどのアクシデントもあり、1週間ほどはトイレや入浴も介助が必要でした。
「早く自分で動けるようになりたい」という思いが、リハビリを頑張る大きな原動力になりました。
術後リハビリと現在の状況
現在、日常生活での痛みはほとんどなくなり、長時間歩いても以前のような強い痛みに悩まされることはありません。
映画や観劇で何時間も座っていても股関節が痛むことはなく、こうして普通の生活を送れることに心から感謝しています。
一方で、術後4か月目にビギナークラスから復帰したバレエでは、まだ大きな課題が残っています。
特にバレエ特有の動き──外旋や開脚──には制限があり、思うようには体が動きません。
それでも「少しでも踊りたい」という気持ちを支えに、ピラティスやストレッチを取り入れながら、可動域を広げる努力を続けています。
人工関節になってからの回復は、術後の月数によって「できること・できないこと」が大きく変わっていきます。
これは、私自身が情報を探していたときに最も知りたかったことでもあります。
そこで次回の記事では、退院直後から半年まで、1か月単位での回復の経過 を詳しくまとめたいと思います。
同じように人工関節手術を受ける方や、大人バレエを続けたいと考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
