離婚は人生の大きな転機であり、その後の生活設計は慎重に行う必要があります。
特に熟年離婚の場合、これまで築いてきた経済基盤をどのように再構築するかが、安心して再出発するための鍵となります。
本記事では、「離婚のための生活設計について」の続編として、経済面に焦点を当て、具体的な準備と計画方法を詳しく解説します。
経済的な安定を確保し、新たな生活を安心してスタートさせるためのヒントを提供します。
離婚後の収入源の確保
離婚後の収入源を確保することは、経済的安定の基盤です。
年金分割、再就職、フリーランスとしての活動など複数の収入源を持つことで安定した収入を維持できます。
再就職やパートタイムの仕事
仕事を探したい方は、ハローワークや求人サイトの活用をおすすめします。
ハローワークでは、中高年の方を対象とした専用の相談窓口も設けられており、年齢や経験に応じた求人情報や就職支援を受けることができます。また、オンライン求人サイトでは、勤務地や希望条件を細かく指定して検索することができるため、効率的に仕事探しが進められるでしょう。
自分に合った方法を選び、積極的に活用していくことが大切です。
フリーランスや自営業の選択肢
フリーランスや自営業として働くことも、収入源の確保に有効な手段です。
特に、離婚後に時間の自由度を確保したい場合、フリーランスとして働くことで自分のペースで仕事をすることが可能になります。
例えば、ライティング、デザイン、コンサルティングなど、自分の得意分野や経験を活かした仕事をオンラインで受注することができます。
また、趣味や特技を活かして小規模なビジネスを始めることも一つの選択肢です。
婚姻費用の請求
すでに別居していて離婚が成立していない場合、婚姻費用を請求できる可能性があります。
家庭裁判所に調停を申し立てることで、婚姻費用の請求が可能です。
手続きはご自身でも行えますが、費用はかかるものの、離婚問題に強い弁護士に依頼することも一つの選択肢です。
なお、婚姻費用は基本的に婚姻費用算定表に基づいて決定されます。
そのため、夫の収入が多ければ婚姻費用だけで生活が成り立つこともありますが、収入が少ない場合は、他の収入源を確保する必要があるかもしれません。
参考:婚姻費用算定表
民法
第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
生活費の最適化と予算の作成
別居後または離婚後は多くの場合、収入が減ると思われますので、家計費の見直しが必要です。家計収支表を作成してみましょう。
日本FP協会 家計収支表
別居時、離婚時に60歳未満の方で夫の扶養に入っていた方は扶養から外れることになりますので、国民年金の3号被保険者から1号被保険者への手続きが必要です。
経済的に納付が難しい方は免除制度もありますので年金事務所の国民年金課でご相談ください。
日本年金機構 免除申請
貯蓄と投資戦略の見直し投資と貯蓄
財産分与で得た資産、自身で築いた貯蓄の運用計画を立てる。
財産分与とは夫婦2人が共同で築いた財産を、離婚時に公平に分けることです。熟年離婚の多くの場合、年金分割と財産分与について協議が行われます。
婚姻 期間 | 総数 | 100万円以下 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1000万円以下 | 2000万円以下 | 2000万以上 | 算定不能 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20年以上 | 852 | 88 | 66 | 115 | 82 | 117 | 109 | 51 | 22 |
25年以上 | 1385 | 92 | 86 | 176 | 149 | 228 | 224 | 124 | 306 |
夫婦の収入にもよりますが、婚姻期間20年以上の場合、財産分与額が1,000万円を超える夫婦も珍しくなく、婚姻期間25年以上の夫婦の場合、約半数が600万円以上の財産を受け取っています。
離婚後、財産分与で得たお金や貯蓄をどのように運用するかは、今後の生活設計に大きく影響します。
新NISA制度も始まり、将来の安定した収入源を確保するために、投資に回すことを検討している方も多いでしょう。
お金を賢く投資するための方法とポイントを紹介します。
- 投資の基本を理解する
投資の世界はあくまで自己責任です。
高いリターン(儲け)を期待するならリスクも高くなります。
自分のリスク許容度(どのくらいの損までなら耐えられるか)を理解して投資戦略を立てましょう。 - 投資先の選定
投資先には株式投資、債券投資、不動産投資、投資信託などがあります。 - 投資計画を立てる
投資の目的を明確にしましょう。
投資については数多くの書籍、YouTube配信などありますので、投資初心者の方は、まずはご自身で信頼のおける書籍、YouTube等で勉強されることをオススメします。参考までに私のおすすめの本を紹介します。