離婚の決断をサポートする2つのアプローチ
結婚生活の岐路に立たされた時、「離婚すべきか、否か」という重大な決断に悩む方は少なくありません。
この記事では、ビジネスの世界でよく使われる2つの分析手法を、結婚生活の評価に応用してみます。
まず、「4象限表」を使って関係性を客観的に分析し、次に会計用語の「損益分岐点」をコップの水に例えて結婚生活の満足度を考察します。
これらのアプローチを通じて、感情的になりがちな離婚の判断を、より冷静かつ多角的に行うためのヒントを提供します。
4象限表で考えるアプローチ
4象限表(よんしょうげんひょう)とは、2つの異なる基準を使ってデータや概念を4つの象限に分類するための視覚的ツールです。
離婚に関する決定を助けるための4象限表の例えとして次のようなアプローチがあります。
この表は、感情的および実生活的な要素を考慮して、各象限に分類しています。
縦軸:感情的満足度(高い/低い)
- 感情的満足度の例
- 夫への愛情:互いに愛情を感じてるか。
- コミュニケーション:効果的でオープンなコミュニケーションが取れているか。
- サポート:精神的なサポートや励ましをかんじるか。
- 共通の価値観:価値観や目標が一致しているか。
- 信頼:夫に対する信頼感があるか。
横軸:実生活の安定度(高い/低い)
- 実生活の満足度の例
- 経済的安定:家計が安定しているか。
- 住居の安定:安定した住環境にあるか。
- 社会的サポート:家族や友人からのサポートがあるか。
- 日常のルーティン:日常生活が規則正しく安定しているか。
第1象限 | 感情的満足度が高く、実生活の安定度も高い | 離婚しないほうが良い 関係が良好で生活も安定している |
第2象限 | 感情的満足度が高いが、実生活の安定度は低い | 離婚の必要性を再考する 感情的には満足しているが、 生活の安定が課題 |
第3象限 | 感情的満足度が低く、実生活の安定度も低い | 離婚を検討する 関係も生活も不安定で 改善の見込みが少ない |
第4象限 | 感情的満足度が低いが、実生活の安定度は高い | 離婚のメリットとデメリットを 慎重に評価する 生活は安定して いるが感情的には不満が多い |
この4象限表を使うことで、離婚するべきかどうかの判断を視覚的に整理することができます。
コップの水に例える損益分岐点アプローチ
コップの水の例え
結婚生活をコップの水に例えると、以下のような要素が考えられます。
- 水の量: 結婚生活の満足度や幸福感
- コップのサイズ: 夫婦の期待や理想
- 水の減少: ストレスや不満、問題
損益分岐点とは?
損益分岐点とは、売上高と費用が等しくなり、利益がゼロになるポイントを指します。
これを結婚生活に置き換えると、幸福感と不満がちょうどバランスするポイントと言えます。
損益分岐点は、企業活動における財務・会計上の用語です。具体的には、売上高とその売上高を達成するために必要とした総費用(変動費+固定費)が合致し、利益も損失も生じない状態を指します
結婚生活の損益分岐点
結婚生活の損益分岐点を以下の要素で考えてみましょう。
- 固定費(結婚生活の基盤)
- 愛情や信頼: 夫婦間の基本的な絆
- 共通の価値観: 生活の基盤となる価値観や目標
- 家族や友人のサポート: 外部からの支援
- 変動費(結婚生活の変動要素)
- 日常のストレス: 仕事や家事、育児など
- コミュニケーションの質: 夫婦間の対話や理解
- 問題解決能力: 問題が発生したときの対処法
損益分岐点アプローチで考える離婚の判断
- 現状の把握
- コップの水の量(幸福感)はどのくらいか?
- コップのサイズ(期待や理想)はどのくらいか?
- 水の減少(不満や問題)はどのくらいか?
- 損益分岐点の計算
- 固定費(愛情や信頼、価値観、サポート)が十分か?
- 変動費(日常のストレス、コミュニケーション、問題解決能力)が高すぎないか?
- 損益分岐点の分析
- 現在の幸福感が損益分岐点を上回っているか?
- 上回っていれば、結婚生活はまだ続ける価値があると言える。
- 下回っている場合、離婚を検討する必要があるかもしれない。
損益分岐点アプローチで結婚生活を考えると、感情的な判断だけでなく、冷静に状況を分析することができます。
自分にとっての最適な選択をみつけるために
この2つのデータに基づいたアプローチ方法で結婚生活を考えることによって、離婚すべきかどうかを感情に流されず、客観的な視点を持って冷静に適正な判断をすることが可能となります。
私の友人は離婚経験者がとても多いです。
離婚理由は本当にさまざまですが、後悔している人はひとりもいません。
個人的な話になりますが、私を含めて離婚経験者の友人たちは、誰もが長い時間をかけて決断に至っています。
中には20年以上悩んだ人もいれば、短くても5〜6年は考え抜いた末に決断した人もいます。
例えば、次男を産む分娩台の上で「次男が成人したら離婚しよう」と心に決めた人がいました。
また、不倫をしている夫の証拠を集めるために探偵を雇い、すべての証拠が揃ったタイミングで、夫に離婚を宣言した人もいます。
さらに、心の中で離婚を決めつつも、言い出すまでの間、良い妻や良い母親を演じ続けた人もいました。
彼女たちも、少なからず、上記のアプローチに似た思考を経て離婚の決断に至ったのだと思います。
私自身も、自分の中で「損益分岐点を下回った」と感じた瞬間に決断しましたが、その時、同時に四象限表の4象限が3象限に変わったタイミングでもあったことに、後から気づいて驚いています。