熟年離婚を考える際に、年金分割は見逃せない重要なポイントです。
特に長年にわたり家庭を支えてきた方にとって、年金の取り扱いは離婚後の生活設計に大きな影響を与えます。
本記事では、年金分割の基礎知識と具体的な手続き方法をわかりやすく解説します。
年金分割とは?
年金分割とは、厚生年金や共済年金を対象として、離婚時に年金を分割する制度です。
婚姻期間中に配偶者が働いて得た年金を分割することで、離婚後も双方が一定の年金を受け取れるようになります。
年金分割の基礎知識
年金分割の種類には「合意分割」と「3号分割」があります。
- 合意分割:夫婦の話し合いで分割割合を決めます。
話し合いが難しい場合、家庭裁判所で分割割合を決めてもらうことができます。
婚姻期間すべてを分割の対象とします。 - 3号分割:婚姻期間中、「第3号被保険者」として国民年金に加入していた妻(夫)が、夫(妻)の厚生年金または共済年金を50%の割合で分割します。
平成20年4月以降の婚姻期間を対象とします。
相手の同意はいりません。
国民年金の第3号被保険者とは、会社員や公務員の人に扶養されている配偶者(年収130万未満のパート労働者や専業主婦・主夫)のことです。
分割の対象となる年金は以下の年金です。
- 厚生年金:一般的な会社員が加入する年金
- 共済年金:公務員や私立学校の教職員が加入する年金
自営業者が加入する国民年金は対象となりません。
年金分割の手続き
年金分割の手続きは以下のステップで行われます。
- 離婚の確定:まず離婚が正式に成立していることが前提となります。
- 合意または裁判所の決定:夫婦間で年金分割について合意するか、合意が難しい場合は家庭裁判所での決定を仰ぎます。
3号分割の場合は、不要です。 - 年金事務所への申請:合意書または裁判所の決定を持って、年金事務所で年金分割の申請を行います。
年金分割の手続きは、離婚が成立してから2年以内に行う必要があります。
年金分割の割合
年金分割の割合は、基本的に50%を上限とします。
つまり、婚姻期間中に得た年金額の最大半分を配偶者から分割してもらえます。具体的な割合は、夫婦間の合意または裁判所の決定によります。
年金分割で後悔しないために
年金分割は熟年離婚において、非常に重要な手続きです。
まずは「情報提供請求」を行い、正確な年金額の情報を入手しましょう。これにより、どれだけの年金を分割できるかが明確になり、適切な判断が可能になります。
「情報提供請求」は、離婚協議中に行うのが望ましいです。
年金事務所で相談することで最適なアドバイスを受けることができます。
情報提供請求は離婚前なら、相手に知られることなく、請求可能です。
送付先も選ぶことが出来ます。